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朝倉 伸幸; 新谷 吉郎*; 飛田 健次; 星野 一生; 清水 勝宏; 宇藤 裕康; 染谷 洋二; 中村 誠; 大野 哲靖*; 小林 政弘*; et al.
Fusion Science and Technology, 63(1T), p.70 - 75, 2013/05
ダイバータの物理設計ではその形状を工夫して非接触プラズマを生成・制御するとともに、平衡コイルの配置と電流値の配分を工夫してダイバータ板への磁力線の連結長を増加する磁場形状の検討が注目され、「先進ダイバータ」と呼ばれている。非常に大きな熱流(500-600MW)の低減が求められる原型炉のダイバータ設計への適応を考察するため、ダイバータ形状や磁場配位を生成する平衡コイルの配置を検討した。プラズマ平衡コードTOSCAを用い、平衡コイルをトロイダルコイルの外側に設置する条件で、先進ダイバータの代表例である「スーパーXダイバータ」及び「雪結晶型ダイバータ」を形成可能なコイル配置及び電流の検討を行った。その結果、平衡コイルをトロイダルコイルの外側においた場合でも、先進ダイバータ磁場配位が可能であることがわかり、その初期結果を報告する。前者の場合はダイバータ板の受熱面積は通常の約3倍に、磁力線長も30%増加可能であるが、ダイバータ配位を形成するコイルには大電流が必要になる。後者では、六重極ヌル点の制御の困難さ、主プラズマ形状への影響、一部の中心ソレノイドに非常に大きな電流が必要であることがわかった。
佐藤 聡; 西谷 健夫; 今野 力
no journal, ,
核融合DEMO炉のブランケットにおいて、トリチウム増殖材であるリチウムは核反応(トリチウム生成反応)により燃焼し、減少する。DEMOブランケット設計(SlimCS、増殖材は90%濃縮LiSiO)を対象に、数値計算(ANISNコード)により中性子輸送計算を行い、1-10年運転後におけるリチウム燃焼度のトリチウム増殖比(TBR)への影響を評価した。中性子壁負荷3MW/m、連続運転の条件でTBRを計算し、1年ごとに原子個数密度を減少させ10年運転後の燃焼度とTBRを求めた。SlimCSブランケット設計では、トリチウム増殖材層は厚さ方向に10層あり、10年運転後のLiの燃焼度は8-80%、Liは3%以下であった。10年運転後のLiのTBRは、第2層では初期値の63%であるが、一方、第4層では初期値に比べて9%増加した。リチウム燃焼度による全TBRの減少は、4年後では1%以下、10年後では4%以下と小さく、リチウム燃焼度によるTBRの影響は大きくないことがわかった。
小沢 和巳; 野澤 貴史; 谷川 博康
no journal, ,
繊維表面の熱分解界面相厚さが240, 1150nmである多層被覆界面を施した一方向繊維(Hi-Nicalon Type-S)強化ミニコンポジット(TypeS-240, TypeS-1150)に対し、除負荷/再負荷サイクル引張試験を実施した。TypeS-240, TypeS-1150の複合材料中の有効繊維束強度は元来の79-104%, 70-85%であった。ヒステリシスループ解析の結果からは、TypeS-1150はTypeS-240の約0.7倍の界面摩擦応力を示し、単繊維押し抜き試験でもこの界面摩擦応力の界面相厚さ依存性が確認できた。これらのミニコンポジットはともに擬延性破壊挙動を示したが、TypeS-1150は低い界面摩擦応力が原因で複合材料中にて元来の繊維束強度を発揮できなかったと考えられる。
木津 要; 村上 陽之; 土屋 勝彦; 柏 好敏; 市毛 寿一; 吉田 清
no journal, ,
JT-60SAのCS内部の空間確保と、CSの全体の高さを低くするためにヘリウムの入口・出口ともに最外ターンに設置する冷却方法の検討を行った。これより、内部配管はなくなり、絶縁継手の数も半分に削減でき、高さも2.3mに低くできた。この冷却方法により、コイルがクエンチしないかどうかの評価を行い、温度マージンが1K以上という設計条件を満たしていることを確認した。導体製作のために、原子力機構・那珂核融合研究所内に製作設備を2008年に建設した。2011年よりCS導体の製作を開始し現在、238mの導体を1本、466mの導体を6本の1モジュール分の導体の製作が完了した。
星野 毅; 名取 ゆり*; 目 智子*; 加藤 剣一*; 及川 史哲; 中村 和*; 蓼沼 克嘉*
no journal, ,
核融合エネルギー開発の早期実現をはかることを目的として行う研究開発である幅広いアプローチ(BA)活動の一環として、新たな先進トリチウム増殖材料の開発に着手した。核融合原型炉では高いトリチウム増殖比を有する発電ブランケットが必要なため、トリチウム増殖材料(Liセラミックス)と中性子増倍材料(Be等)をブランケット内に混合して充填する設計も検討されている。しかしながら、高温・長時間使用時におけるLiとBeの反応が懸念されるため、混合充填時も化学的に安定なLiBeO合成法の探索を行った。LiOH・HOとBe(OH)を始発粉末とし、1073K・2hの焼成条件にて合成を行ったところ、ほぼ単一相のLiBeO合成に成功し、LiとBeの混合充填時においても化学的安定性が高いと考えられる、新たなトリチウム増殖材料LiBeO合成の可能性に見通しを得た。
中道 勝; 金 宰煥
no journal, ,
核融合原型炉の早期実現を目指した幅広いアプローチ(BA)活動において、高温下の安定性に優れたベリリウム金属間化合物(ベリライド)の製造技術開発の一環として、ベリライド合成法として新たにプラズマ焼結法の適用を発案し、最適化に関する研究を行っている。今回は、高温下安定性評価として、高温酸化特性及び焼成効果について調べた。高温酸化特性試験の結果、プラズマ焼結製ベリライドは、HIP製Be金属やTiよりも、さらにプラズマ焼結時間の増加に伴い耐酸化性の向上が示された。また、プラズマ焼結製ベリライドは、1400Cで焼成することにより目標組成であるBeTiに均質化できることを明らかにした。
宮本 斉児; 諫山 明彦; 杉原 正芳*; 草間 義紀
no journal, ,
垂直移動現象(VDE)やプラズマディスラプションの正確なモデル化は、それによって引き起こされる真空容器への電磁力や熱負荷を評価するために欠かすことはできない。これまで、ITERでのディスラプションのモデル化はDINAコードを用いて行われてきたが、他のコードや実験による観測結果を用いてDINAコードの結果を検証しておくことが重要である。TSCコードはDINAコードとともに、トカマク磁場の時間発展シミュレーションによく用いられているコードである。DINAコードとTSCコードは、磁場の時間発展の計算に全く異なる手法を用いており、コード間の比較計算(ベンチマーク)によってモデルの差異が計算結果に及ぼす影響が明らかになると期待される。本研究では、プラズマの抵抗率、ブランケットモジュールの時定数、初期プラズマパラメーターをDINAコードとTSCコードのシミュレーションで注意深くそろえた。その結果、VDE時のプラズマの動きやディスラプション時の電流崩壊の波形が両コードで非常によく一致することがわかった。このことは、DINAコードによるITERのディスラプション解析結果に一定の確証を与える。発表では、ASDEX-Uトカマクの実験データとDINAコードの比較についても報告する。特に、シミュレーションモデルに静電シースの効果を取り入れることの必要性について議論する。
草間 義紀
no journal, ,
2007年10月に原子力機構がITER計画での我が国の国内機関に指定され、我が国としてITERの建設に向けた活動が本格的に開始された。日本国内機関としての主な役割は、我が国が責任を有する物納機器の調達、ITER機構の職員公募に代表される人的貢献やITER機構からの業務委託にかかわる活動支援である。物納機器の調達において、我が国は、ホストである欧州に次ぐ大きな責任を有しており、本体機器の約2割の調達を分担している。2007年11月にITER機構と原子力機構との間で、ITER計画では最初の調達取決めであるトロイダル(TF)コイル導体の調達取決めが締結され、その後、ITER機構との間で順次調達取決めを締結した。講演では、日本が調達責任を有する、超伝導コイル,ダイバータ外側ターゲット,中性粒子入射加熱装置,高周波加熱装置,ブランケット遠隔保守機器,トリチウムプラント,プラズマ計測装置の調達の進展について報告する。人的貢献と活動支援、ITERタスクの実施による課題の解決への貢献等についても言及する。
石川 正男; 近藤 貴; 草間 義紀
no journal, ,
ITER計画において日本が調達するマイクロフィッションチェンバー(MFC)計測システムの開発の進捗を発表する。真空境界部分となる真空導入端子の設計では、ITERの要求仕様である中間真空を設けた2重真空構造とした。また真空側の境界はすべてステンレスとし、絶縁体は中間真空と大気側で使用することで、ノイズ性能、真空性能の向上を測った。以上の設計をもとに真空導入端子を試作し、性能試験を行った結果、真空境界及び信号伝送部としての健全性が確認され、ITERに適用できる見通しが立った。また、MFCのその場較正試験に対し、較正用線源の移動方法や試験時の環境が与える影響を中性子解析により調べた。線源の移動方法としては、トロイダル軸上を連続的に回転させる方法と離散的に移動させる方法が考えられており、現在、ITERでは連続的に回転させる方法が検討されている。これに対し、連続的に回転した場合とともに、離散的に移動させた場合の較正試験をシミュレーションし、結果を比較することで、限られた時間内にどの程度の精度が得られるかを評価した。
竹内 正樹; 杉江 達夫; 小川 宏明; 草間 義紀; 海老澤 克之*; 若林 邦朗*; 成相 恭二*; 谷本 亜紀*; 清原 元輔*
no journal, ,
ITER計画において、日本が調達する計測装置であるダイバータ不純物モニター及びダイバータIRサーモグラフィーの概念設計の進展について報告する。ダイバータ不純物モニターに関して、新しく設計した上部ポート及び水平ポートの光学系に対して機械設計及び熱・構造解析を行い、上部ポートに設置する先端部光学系は十分な冷却能力を有していることが明らかになった。また、その場校正に用いるマイクロレトロリフレクターをつけたシャッターについて、その機構を簡素化するための設計を行った。ダイバータIRサーモグラフィーに関して、空間分解能を評価するために内側用光学系での光線追跡によるスポットダイアグラムの直径と検出器のピクセルの大きさを比較検討した。その結果、1-4mの波長域では、ダイバータ板上で要求されている3mmの空間分解能が得られる見通しである。また、光学シミュレーションソフト「Light Tools」を用いて壁での反射の影響の評価を始めており、その初期結果も報告する。
今澤 良太; 小野 武博; 河野 康則; 草間 義紀
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ITER計画で日本が調達するポロイダル偏光計測装置の研究開発の進展について報告する。新規に開発した平衡計算コード(CUPID)を用いて、ポロイダル偏光計測装置に求められる精度は、偏光状態の方位角の計測誤差が0.1度以下、楕円率角の計測誤差が0.6度以下であることを初めて明らかにした。高い熱負荷に耐えられ、かつ、上記の目標精度を満足可能とする回帰反射鏡及び第1ミラーの設計を行った。形状や冷却の観点から設計を最適化し、回帰反射鏡のミラー面の熱変形後の平坦度を1m以下、第1ミラーの熱変形後の平坦度を10m以下にできる見通しを得た。これらの変形量は測定レーザー波長である119mよりも十分小さく、偏光計測への影響の低減が期待できる。信頼性の高い偏光測定方法として検討を進めている回転波長板方式の測定誤差を評価し、上述の目標精度が達成可能であることを示した。偏光計測の新たな展開として、電流密度、電子密度及び電子温度の各分布の同時再構築手法を新たに考案した。本手法は電磁誘導を測定原理とした磁気計測器のデータを必要としないため、定常運転での計測に有望な新しい総プラズマ電流計測手法を開拓したものといえる。
川島 寿人; 久保 博孝; 新井 貴; 正木 圭; 柳生 純一; 長谷川 浩一; 柴沼 清
no journal, ,
幅広いアプローチ活動のサテライトトカマク計画として超伝導トカマクJT-60SAの設計/製作が行われている。JT-60SAに対する大規模設計を効率よく進めるため、CADシステムを2007年から構築し運用している。当初、トロイダル磁場コイルや真空容器など24の主要構成機器項目に分けて、CADデザイナーが項目ごとにパーツやアセンブリーの設計から始めた。現在、製作が開始されている真空容器などの機器を除く項目において基本設計がほぼ完了し、各機器を組合せての干渉,アクセス性,組立を検討する統合モデル(大規模アセンブリー)設計を進めている。本大規模アセンブリーは、現段でパーツ数が約1万、容量が約4GBまで達し、過去に例を見ない大型構造物の設計になる。既設のコンピュータ(PC)性能では十分対応できない規模になってきたことや各機器データの一元管理の必要性など、特有の困難性が生じてきた。そのため、グラフィックボードの高速大容量化などPCの最適化、CADソフト機能を活かしたアセンブリーの省容量化、各機器データを一元管理するシステムの導入などを行い、さらに大規模化するJT-60SA全体設計に対応している。
金 宰煥; 中道 勝
no journal, ,
合成・造粒が困難な先進的中性子増倍材料のベリリウム金属間化合物に対し、新たな焼結-溶解-焼成プロセスを適用することにより、合成から微小球製造まで一貫した合成・造粒技術に目処を得ることに成功した。
松井 邦浩; 辺見 努; 井口 将秀; 梶谷 秀樹; 千田 豊; 小泉 徳潔; 中嶋 秀夫
no journal, ,
原子力機構は、ITER計画の国内機関として、TFコイル及びTFコイル構造物の調達を担当している。これらの実機製作に向けて、幾つかの技術的課題を解決するために、2009年4月からこれまでに、製造設計、中規模及び実規模試作をメーカと協力して実施した。これらの試作では、主として、巻線及び絶縁含浸に関してTFコイルの1/3規模の試作、ラジアル・プレート(RP)及び構造物に関して実規模の試作を実施し、目標値である約0.01%の精度で1/3規模巻線の導体長さ管理すること、耐放射線性に優れたシアネート・エステル樹脂を用いた導体絶縁の絶縁施工プロセスの確立、平面度及び輪郭度が目標値である数ミリメートルを満足する実規模RPの製作、構造材料及び溶接の品質確保を達成した。
秋場 真人; 榎枝 幹男
no journal, ,
テストブランケットモジュール試験計画(以下、TBM試験計画)は、ITERにモジュール規模の核融合原型炉用ブランケットを取り付けてその機能試験を実施するもので、ITERの工学的利用計画の一つである。このTBM試験のため、ITERには3つの水平ポートが準備されている。1つのポートには最大2体のブランケットモジュール(以下、TBM)を取りつけることが可能であるため、ITERでは最大6体のTBMを取り付けて同時に試験することが可能である。本講演ではITERを利用した唯一の工学的利用計画であるTBM試験計画の設計や技術開発の進捗状況について報告する。
鈴木 哲; 江里 幸一郎; 関 洋治; 西 宏; 廣瀬 貴規; 毛利 憲介; 榎枝 幹男
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ITERの建設が開始され、ダイバータに関しても実機ダイバータ調達を予定する3調達極(日本,欧州,ロシア)に対して、中型のダイバータ模擬試験体(Qualification Prototype)の製作及び高熱負荷試験を通じたPrequalificationと呼ばれる技術的能力に関する確認試験を2009年末までに完了し、ITER機構(IO)は上記の3調達極に対してダイバータ調達を実施するための技術的能力を認定した。これを受け、日本国内機関(JADA)となっている原子力機構は、IOとダイバータ外側ターゲットに関する調達取り決め(Procurement Arrangement: PA)を2009年6月に締結し、ダイバータ外側ターゲットの調達に着手した。ここでは、ITERダイバータの現状設計及び現在製作が進んでいるダイバータ外側ターゲット実規模プロトタイプの進捗状況並びに今後のダイバータ調達の見通しに関して報告する。
小泉 徳潔; 布谷 嘉彦; 濱田 一弥; 中嶋 秀夫; 奥野 清
no journal, ,
学会の要請により、招待講演として、ITERの超伝導マグネット及びその調達の進捗について発表する。日本は、25%のTF導体、100%のCS導体、9個のTFコイル、及び100%TFコイル構造物の調達を分担する。日本では約90トンのTF用素線の製作を完了し、33本のTF導体のうち27本の製作を完了した。CS導体の調達では、短尺導体を用いた検証試験で繰返励磁による性能劣化現象が観測され、ITER機構と協力して、その解決にあたっており、撚線ピッチの最適化等の対策が取られ、調達に向けた準備が進められている。TFコイルの調達では、巻線部及び構造物の実規模試作を成功裏に完遂し、実機調達に向けた準備を進めており、実機コイルの製作は2017年末までに完了する計画である。
宮田 良明; 鈴木 隆博; 藤田 隆明; 井手 俊介; 浦野 創
no journal, ,
JT-60SA, ITERや将来の核融合炉において、精密なプラズマ位置形状制御はプラズマ性能の向上及び第一壁を含めたプラズマ対向構造物へのダメージを避けるうえで重要な課題である。プラズマ平衡制御手法の研究のため、プラズマ平衡制御シミュレータの開発を進めている。平衡制御シミュレータは平衡計算部と制御コントローラー部で構成される。今回、プラズマ電流制御のシミュレーションのため、与えられたコイル電流及び磁束消費に無撞着なプラズマ電流を有する平衡を求められるよう平衡制御シミュレータの改造を行った。これによりプラズマ位置形状制御とプラズマ電流制御を同時に行い、プラズマ着火直後からプラズマ電流を安定に立ち上げ、安全に立ち下げるプラズマ放電シナリオを模擬することができる。本講演では平衡制御シミュレータを用いて開発したJT-60SA放電シナリオを報告する。
柴田 欣秀; 井手 俊介; 藤田 隆明; 諫山 明彦; 渡邊 清政*; 大山 直幸; 栗原 研一; 河野 康則; 杉原 正芳*
no journal, ,
大型トカマク装置のディスラプション時に真空容器等に発生する電磁力は電流減衰時間に反比例して大きくなるため、電流減衰時間の評価が重要となる。本研究では20062008年にJT-60Uで行われた高ブートストラップ電流割合実験、抵抗性壁モード実験中に発生したディスラプションを対象とし、電流減衰時間のプラズマパラメータ依存性について調査した。電流減衰が速い放電ではプラズマインダクタンスの時間変化が10eVを仮定したプラズマ抵抗に比べても56倍程度大きく、プラズマインダクタンスの時間変化が電流減衰時間の決定に大きく関与していることが判明した。また、高ブートストラップ電流割合実験においてディスラプション発生前の電子温度分布を調べたところ、電子温度分布はほぼ同じなのにもかかわらず、電流減衰時間,プラズマインダクタンスの時間変化に24倍程度の違いが生じる場合があることが明らかになった。今回解析した放電ではプラズマパラメータ、放電条件はほぼ同じであるが、このような違いが生じる理由としてはディスラプション前に発生するMHD不安定性のモードや大きさに違いがある可能性があることが判明した。
谷川 尚
no journal, ,
核融合炉におけるブランケットは、プラズマの周りに設置され、熱の取り出し、燃料であるトリチウムの生産、中性子の遮蔽の3つの機能を持つ機器である。これらの機能のうち、ITERのブランケットは遮蔽の機能しか持たないために、遮蔽ブランケットと呼んで区別している。ITERまでの実験装置と、原型炉以降の核融合炉とを比較したとき、ブランケットはその役割と仕様とが最も大きく異なる機器の一つである。核融合炉の安全にかかわる特徴を整理することを目的として、ITERを対象とした既往の検討を参照し、ブランケットに注目しつつITERと原型炉との違いについて分析する。ITERでの検討において、真空容器を脅かす要因として検討された「停止後の除熱異常」については、中性子壁負荷の違いによって原型炉での崩壊熱量が大きくなることが予想されるため、その影響評価が重要であることを明らかにした。